国際人のための「日本建築史講座(全10回)」22年5月12日開講

 観光庁の実施した「上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会」においては、ガイドに対する希望として、以下の2点が特に重要視されました。

●富裕層の知的好奇心・探求心に応えられる幅広い分野で高い専門性を備えて説明できるガイド。

●語学だけでなく、教養があり、相手の教養レベルに合わせて、話しを組み立てられるガイド。

 このような中で、全国通訳案内士においても、特に、「建築」、「美術」などの知識・説明力の不足が指摘されています。

 日本の教育は、ややもすると「誰が作ったか」、「誰が作らせたか」、「いつ作ったか」などを教える教育であり、建築や美術作品そのものを鑑賞し、体系的に理解することは、あまり行われていませんでした。

 こうした結果、ガイドの理解力不足が原因で、せっかくの文化財の本当の価値が外国人に伝わらないこともありました。IJCEEにおいても、これまで建築関係の研修を実施してきました。しかし、これまでの研修では、江戸東京たてもの園や上野公園、六本木、原宿、代官山等個別課題の研修しか、実施できませんでした。

 今回の研修においては、波多野先生により、一貫した、また、体系的な建築史の講義を行っていただけることになりました。

 

 皆様におかれましては、この貴重な機会を逃さずに、受講されることをお勧めします。

講座の目的

今回この講座を企画した理由は、主に以下の二つです。以下は、トップガイドである村上堅治氏の解説です。

1)EXOトラベル、Destination Asia Japanなどの富裕層観光に特化したエイジェントから建築に特化した依頼があった時に備えて、今から準備しておく必要があります。
建築の専門家にはなれなくても、少なくとも彼らと会話のできるレベルに達しておくことが、これから要求されます。
2)ロングツアーの経験豊富なガイドの方から、以下の様な声も届いております。
「例えば、東大寺の大仏殿、京都の三十三間堂を案内する時には、表面的な説明で誤魔化してきた部分があります。毎回もっと専門的な知識が必要と考えていたが、その機会がなく今に至っています。」というものです。

なぜ今か?

・今の新型コロナウイルス感染症の状況から、今年後半には外国からの観光客が日本に入ってくる可能性が出てきています。日本は、直近の観光白書にもあります様に、欧米豪とアジアの観光客に行った調査で、世界でもっとも行きたい国、となっています。
・このことは、訪日観光が再開の際には、多くの観光客が日本での観光を楽しみにして訪日する可能性あることを示唆しています。
・その再開に備えて、今の時期から備えておく必要があると考えるからです。

日本工業大学名誉教授による講義

今回の講座をご担当頂くのは、日本工業大学名誉教授(元学長)であり、ご自身でも設計室の代表を務めておられる、波多野純先生です。


・波多野先生には、2021年3月以降IJCEEとGICCS研究会共同で行った、上質のガイドを養成するプロジェクト(プレミア・ガイド育成プログラム)でも講義をして頂きました。トップガイドを目指す参加者から、その経験の豊かさ、ご経験からお話し頂いた内容に、好評を頂きました。
・今回の講座は、この内容を更に分かり易く、かつ9回、10回の講座内容で示されておられる様に、現代建築に注力して行きます。この明治以降の建築、設計者は、我々にとって身近であり、旧帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトなど、外国の方からよく聞かれる内容の講義もいただきます。

旧帝国ホテル(明治村)
旧帝国ホテル(明治村)

受講料

会員:1回ごと各2,500円

   10回一括20,000円

一般:1回ごと各3,200円

   10回一括25,000円

フレンドシップ団体、TJスクール生:

   1回ごと各2,800円

   10回一括22,500円

(フレンドシップ団体の方は、お申し込みの際、所属の団体名をメモ欄にご記入ください)

 

受講形態

Zoom / 会場(IJCEE本部講義室
※見逃し配信もあります。配信開始までに、5営業日ほどいただいております。

※視聴期限は配信開始より1カ月間です。お間違いのないよう、ご注意ください。

※2回目以降は、ZOOM配信のみとなります。

申込締切

各回とも実施前日の正午を申込の締め切りとさせていただきます。Zoom情報は前日の正午を目安に送ります。


開講にあたって(波多野純氏の言葉)

法隆寺・金堂
法隆寺・金堂

 日本には現在25 件の世界遺産があります。文化遺産が20 件、自然遺産が5 件。文化遺産は、蓄積された歴史文化の総体ですが、その主要な部分を歴史的建築が占めています。文化遺産として最初に登録されたのが1993 年の「法隆寺地域の仏教建造物」と「姫路城」です。
 法隆寺金堂の前に立ち、「世界最古の木造建築です」と説明をしたとき、「それは何時の建築ですか」と質問されたら、どのように答えますか。「607 年に聖徳太子が作ったお寺です」と答えたら「その程度のことはガイドブックに書いてある」と言われてしまいます。実は、法隆寺金堂の建築年代を説明するのは、とても難しいことなのです。

 『日本書紀』には、「法隆寺は670 年に雷火で焼失した」とあります。このため、現存する法隆寺金堂は、607 年に聖徳太子が建立したままなのか、670 年の雷火焼失後の再建なのか、明治・大正から昭和にかけて歴史学・美術史学・建築史学を巻き込む大論争が繰り広げられました。「法隆寺再建非再建論争」です。1939 年に若草伽藍跡が発掘され、火を受けた礎石も見つかりました。それが聖徳太子創建の法隆寺であり、法隆寺は再建されたというのがひとまずの結論です。では、現在の法隆寺は、670 年より後、何時再建された建築なのでしょうか。年輪年代学など研究方法の開発があり、新たな見解が次々と提示されています。飛鳥文化の典型である法隆寺ですが、建築の建立年代は白鳳文化の時代です。
 また、著名な哲学者である梅原猛は、現在の法隆寺は蘇我氏によって殺された聖徳太子一族の怨霊を閉じ込めるために建設されたと言う、興味深い学説を提起しています(『隠された十字架』)。

 白鳳文化の象徴である薬師寺東塔も、天平文化の時代に藤原京から平城京へ場所を移して再建されました。
 天平文化の代表である東大寺ですが、当時の建築は正倉院・転害門などごくわずかしか残っていません。南大門は鎌倉時代の再建、大仏殿は江戸時代の再建です。
 このように歴史的建築について、歴史・宗教・文化・技術などの背景を踏まえて、正確に説明できれば、ガイドの信頼性は格段に向上するはずです。
 「日本建築史講座」では、世界文化遺産に登録されている建築を中心に、ひと味違った魅力的なツアーが組めるよう丁寧に説明します。(波多野純建築設計室代表 波多野純氏)

スケジュールと講義内容

各回木曜 14時~16時

 

月 日

題 目

講 義 内 容

1

512

仏教の伝来と仏教伽藍

 

 

法隆寺の建築

 

 

 

仏教建築の誕生、サンガラーマ(僧伽藍)、ネパールの仏教僧院と保存修復、仏法僧

渡来人と新たな建築技術、飛鳥建築、法隆寺は何時建てられたか、法隆寺西院伽藍(金堂・五重塔)、東院伽藍(夢殿・伝法堂)

2

519

鎮護国家の仏教建築

 

 

 

 

密教建築の成立と

山岳仏教

 

 

 

末法思想と浄土教建築

藤原京(橿原市など)と薬師寺、白鳳建築

平城京と東大寺、全国の総国分寺と聖武天皇、平城宮跡、鑑真と唐招提寺

平安京遷都、天台宗(最澄・比叡山延暦寺)と真言宗(空海・高野山金剛峯寺)

礼堂の登場、多宝塔、三仏寺投入堂(鳥取三朝)

藤原氏の栄華、平等院鳳凰堂、中尊寺金色堂・毛越寺庭園、白水阿弥陀堂(福島いわき)

3

62

鎌倉新仏教と

大仏(天竺)様の建築

 

 

 

禅宗()様の建築

南都焼討、俊乗房重源と陳和卿、源頼朝と周防の木材、東大寺大仏殿・南大門・法華堂、浄土寺浄土堂(兵庫小野)、中国建築の地方性と渡来経路

臨済宗(栄西)と曹洞宗(道元)、室町幕府と建築様式の均質化、東福寺、南禅寺、善福院釈迦堂(和歌山)、正福寺仏殿(東村山)、清白寺仏殿(山梨)、瑞龍寺(富山高岡)

4

616

和様の建築

 

 

金堂から本堂へ

 

設計技術の確立

奈良の和様と京の和様、興福寺北円堂・三重塔、十輪院本堂、大報恩寺本堂

湖東三山(西明寺・金剛輪寺)、長寿寺(滋賀)、大善寺(山梨勝沼)

日本建築の美しさの源(枝割と六枝掛、柱の隅伸び)

5

630

安土城と全国の天守

 

 

 

城と御殿

安土城と信長の先駆性、現存する12天守(姫路城・彦根城・松本城・犬山城)

江戸城と大工(中井と甲良)

二条城二の丸御殿、江戸城本丸御殿と松の廊下、徳川御三家の屋敷と甲良家、小石川後楽園、佐賀城本丸御殿の復原

6

714

神社建築の歴史

 

 

東照宮と近世の寺社建築

 

 

 

左甚五郎は実在したか

 

伊勢神宮と式年造替、出雲大社と巨大建築の復原、仁科神明宮(長野大町)

東照宮の魅力再発見、大工中井正清と甲良宗広、日光東照宮、久能山東照宮、上野東照宮

清水寺本堂、善光寺本堂

300年生きた甚五郎と庶民の夢、歓喜院聖天堂(埼玉熊谷)

7

728

住まいの歴史

 

 

 

 

 

民家と伝統的町並み

 

 

 

 

 

近代和風建築の到達点

竪穴住居と高床住居、家屋文鏡の建築、法隆寺東院伝法堂、寝殿造、武士の館の復原、書院造(慈照寺東求堂同仁斎)、近世書院造、数寄屋造と桂離宮、三渓園臨春閣・聴秋閣(横浜)、茶室

千年家箱木家(神戸)、今西家(奈良今井町)、旧笹川家(新潟味方)、旧粕谷家(東京板橋)、白川郷、伊根(京都)、萩、日本民家集落博物館(豊中)、川崎市立日本民家園

吉島家(高山)、遠山記念館(埼玉川島)、日向別邸(熱海)

8

825

長崎と西欧・中国建築

 

 

 

 

沖縄建築の独自性

 

オランダ商館と出島の復原、靴とスリッパ、黄檗宗・崇福寺(長崎)・万福寺(宇治)、儒教の建築・多久聖廟(佐賀)・湯島聖堂、足利学校の復原

首里城の復原と火災、玉陵、竹富島の民家

9

98

明治維新と洋風建築

 

 

 

 

 

 

戦後建築と

ル・コルビュジエ

ジョサイア・コンドルと辰野金吾(日本銀行・東京駅)、片山東熊(迎賓館・東博表慶館)、妻木頼黄(横浜正金銀行)、伊東忠太(築地本願寺・震災祈念堂)、フランクロイド・ライト(帝国ホテル・自由学園明日館)

前川國男・坂倉準三・吉坂隆正、国立西洋美術館・東京文化会館

10

922

日本の近現代建築

 

 

 

現代建築の魅力

モダニズムの建築、丹下健三と広島平和記念資料館、オリンピックと大阪万博、村野藤吾、メタポリズムグループ

ポストモダニズムの建築、象設計集団と沖縄、生き続けるモダニズム、槙文彦・谷口吉生・安藤忠雄

 

【講義概要】日本建築史講座.pdf
PDFファイル 695.9 KB

講師紹介 波多野純氏

日本工業大学名誉教授(元学長)、波多野純建築設計室代表。
1946年、神奈川県生まれ。東京工業大学理工学部卒業。工学博士。
1970年~2017年 日本工業大学に勤務し、2011年~15年、同大学学長。
1998年 「ネパールにおける仏教僧院の修復をとおしての国際協力」で日本建築学会賞業績賞(共同)。同年『江戸城Ⅱ<侍屋敷>』で建築史学会賞。
 専門は建築史(日本およびネパール)、歴史的建築や町並みの保存・修復・復原設計。足利学校、長崎出島オランダ商館、佐賀城本丸御殿などの復原、福岡城下之橋大手門、旧粕谷家住宅(東京)などの保存修復に取り組む。また、「中世東国武士の館」「江戸橋広小路」(以上、国立歴史民俗博物館)、「両国橋西詰広小路」「日本橋(原寸)」(以上、江戸東京博物館)など復原模型の設計にも携わる。
著書:『復原・江戸の町』、『埼玉県の近代和風建築』(共著)など多数。

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10回一括チケット

丹下健三・広島平和記念公園(平和記念資料館より望む)

国際人のための「日本建築史講座」10回一括

第1回は申込受付を終了致しました。

次項以降の「1回ごとチケット」カートにて、第3回以降のお申し込みを受付中です。

¥20,000
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1回ごとチケット【IJCEE会員】

春日大社

国際人のための「日本建築史講座」【IJCEE会員】

第1回~第2回は申込受付を終了致しました。

¥2,500
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1回ごとチケット【一般】

白川郷・合掌造り集落

国際人のための「日本建築史講座」【一般】

第1回~第2回は申込受付を終了致しました。

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1回ごとチケット【フレンドシップ団体、True Japan School生】

谷口吉生・鈴木大拙館

国際人のための「日本建築史講座」【フレンドシップ団体、True Japan School生】

第1回~第2回は申込受付を終了致しました。

¥2,800
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